※ 高麗人参の由来

「神秘の霊薬」「生薬の王様」とも呼ばれている高麗人参(Panax ginsengC.A.Meyer)の名称は、1943年ソ連のCarl Anton Von Meyerによって名付けられました。

Panaxというのはギリシャ語のPan(全て)とAxos(医薬)が結合した複合語として、“万能の新薬”を意味し、“全ての病を治療する”という意味を持っています。

高麗人参が薬用として使われるようになったのがいつからかははっきりわかりませんが、歴史的には、約2000年位前、古代中国(前漢時代)の史遊という人物が著した「急就章」に人参の記録があり、中国最古の本草書である「神農本草経」にもその記述があります。

世界的には、人参の種類は約7種類ほど知られていますが、商品として流通している人参の種類は大きく分けて3種類があります。

一つは韓国、中国などのアジアの極東地域に分布する「高麗人参」、一つは中国南部の雲南省、廣西省などの地域に分布する「田七人参」(Panax notogingeng)で、もう一つはアメリカやカナダ地域に分布する「西洋人参」(Panax quinquefolium)です。

その他、竹節人参(中国、日本)、三葉人参(北米東部)、ヒマラヤ人参(ネパール)などがあります。

「神農本草経」では生薬をその毒性にもとづいて
上薬中薬下薬とに分類し、その用途を分類しています

上薬とは、無毒で命を養う生薬であり、副作用がなく長期間服用でき、体の治癒力や抵抗力を高めてくれるものを言います。代表的なものは人参(高麗人参、田七人参など)や地黄、黄耆(オウギ)などがありますが、中でも人参は別格です。人参は病気の人だけではなく、健康な人にも、体力や気力を養うために世界中で多くの人々に愛用されています。

中薬とは、毒性が少なく病気を治す効果もある程度期待できる生薬で、短期的なら毒性がなく薬効を期待できます。
代表的なものは葛根、麻黄、芍薬、紫胡(サイコ)、当帰、乾姜などがあります。

下薬とは、病気を治す力は強いが、しばしば副作用を伴う生薬です。特定の症状だけに効果を発揮するもので、基本的に毒性が強いので長期間の使用は禁物です。

代表的なものに大黄、黄白、半夏、桔梗、夏枯草(カゴソウ)などがあります。